生と死が渾然と ー自然と生物、平山清隆展ー

 鳥がいる、川魚がいる、昆虫がいる。それらが山や湖水、沼沢の葦原の写真と共に組み合わされたコラージュ。平山清隆はそんな自然と生物に取りつかれて11年前。今回も大作をものにしている。
 舞台は琵琶湖の湖北町だったり、生まれながらの故郷・扶桑町だったり。が、そこに光る作家の目は意識的か無意識的にかかわらず生と死、環境の転変をにらんでいるのは確かなよう。
 写真に組み合わされた魚や昆虫、野鳥はそれぞれの土地で集めた砂礫や木の枯れ枝、小石を張りつけて形作る。生命はやがて命絶えて土に、化石に帰る。それを生命体を描く素材にする。生と死が渾然として、カンバスの上に描き上げられる。
 その1つ、「KASHIWAMORI」は故郷の湿地だ。わずか30余年前は美田であったという。それを、農家が稲作に見切りをつけ、周辺が宅地化されると水がたまり、沼化して今はカマキリやバッタ、トンボなど昆虫の天国になっている、という。人為のむなしさと自然の偉大さと感じさせる。
 平山は1952年生まれ。同展は16日まで、名古屋市中区丸の内2の15の11、水谷ビル、ウエストベスギャラリーコヅカで。

1995年9月7日 毎日新聞 / 学芸課 星出敏男