平山清隆展・・・・・・厚みをもたせた白い台に、風景をうつした写真を貼りその地名と撮影年を記すとともに、台を刳って土を敷き、石ころや木の枝をコラージュしてある。写真が今ここではない別の時空の記録であり写しであることと、現場で採取されたとおばしいやはり別の時空の実物ー断片とが併置され、写真のなかの空間と実物との大きさの尺度の違いがどちらが日常の視覚や記憶にとって自然なのかをまどわせる。刳りの形は必ずしも安定した方形ではなく、また写真の端が刳りに折り込まれており、台は不在の時空を交わらせ等価にする窓ないし装置となる。ただし台の白、写真のモノクロ、コラージュ部の抑えた調子が作品に記録性とともに装飾的なまとまりを与えている。
1988年5月号 美術手帖 三重県立美術館学芸員 石崎勝基